HighPoint RocketStor 6661Aで外付けグラフィックスと仮想通貨マイニング
2021/03/21作成

今回はグラフィックスを想定していない汎用変換ケースであるHighPoint RocketStor 6661Aを使用してノートパソコンに外付けグラフィックス(いわゆるeGFXやeGPU)を増設し、仮想通貨をマイニングしてみました。
ここ数年、Thunderbolt 3の普及により、外付けグラフィックスはより簡単で一般的なものになりました。
実はThunderbolt 3が登場するよりも前からExpressCardで外付けグラフィックスという方法は可能だったのですが、実用性は皆無でした。
今となってはグラフィックス増設用の専用ケースが市販されており、外付け自体は特に難しいことは無いのですが、あえて際物路線でグラフィックス用ではないものを使う事にしました。

まず、このケースはそのままでは2スロット厚のPCI Expressカードを取り付けられないため、分解した状態のままで使用します。
次に、ケース付属のACアダプタが60Wでグラフィックスには適さないため、別途12V18A出力のACアダプタ電源であるDell DA-2 D220P-01と各種PCI Express補助電源変換コネクタを用意しました。
このACアダプタは外付けグラフィックスにおいては非常に有名であり、ググればいくらでも解説が見つかるので、使い方は他のサイトに任せます。
最後に、適当なグラフィックスボード(今回はASUS製GeForce RTX 2060)を取り付ければ準備完了です。

外観

上記を全て組付けた状態です。
ACアダプタがかなり大きいですが、設置面積は13インチのノートパソコンより小さく、机の下や棚の中などに設置できるサイズです。
今回は撮影のためにテーブル上に見える位置で置いていますが、普段は埃避けも兼ねてテーブルの裏に置いています。

全体像

ノートパソコン(Razer Blade Stealth 13 2019)と接続した状態です。
グラフィックスは発熱源かつ騒音源になるため、パソコン本体から離せるのは大きな利点です。

実はThunderbolt 3でグラフィックスを外付けすると、PCI Express直結で内蔵した場合と比べて平均で7割程度の性能しか発揮できません。
原因はバスの帯域が、一般的なPCI Express 3.0 x16が128Gbpsに対し、内部的にx4接続なので32Gbps、更に実際はThunderbolt 3の仕様により22Gbpsと17%程度しかないためと、Thunderbolt 3の変換によりレイテンシが増加するためです。
しかし、これはあくまでもCPUとGPUの通信の話であり、通信を頻繁に行わない用途であれば内蔵と同程度の性能が得られるはずです。
そこで、今回は帯域をあまり必要としない計算に特化した用途として、近年の仮想通貨ブームに乗じて仮想通貨のマイニングを行うことにしました。

動作中

NiceHash Minerを使用して数時間連続動作させてみました。
稼働中のノートパソコン自体の消費電力は22W、グラフィックス側の消費電力は108Wであり、グラフィックス側は熱くなるものの、ノートパソコンは普通に触れる程度の発熱でした。

画面

動作速度は約30.2MH/sと、NiceHashが公開している参考値32MH/sと比較しても遜色ありませんでした。
また、消費電力も約83Wであり、参考値の90Wよりやや低い値となっていました。
この消費電力はGPU単体の値であり、このGPUを動作させるための電力という視点では、デスクトップパソコンであれば電源自体の効率は85%程度が一般的ですが、今回の構成ではThunderbolt 3変換を含めた消費電力が108Wなので効率は77%相当となり、電力効率は内蔵と比べて9割程度になるようです。

今回は話題性も兼ねてマイニングを行いましたが、実は昨年春ごろにFolding@homeでGPGPU用途であれば性能が内蔵とほぼ変わらないことを確認していました。
ただしマイニングが科学計算と大きく異なるのは処理速度や信頼性よりも電力効率を重視する点ですが、効率においても外付けと内蔵に大きな差はない事が確認できました。
私はマイニング自体には特に興味が無いので、気が向いた時くらいの頻度で動作させようかと思います。


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