マウスコンピューターLuvBook LB-H600BにeSATAポートを増設改造
2013/11/14作成
2014/08/12更新

プログラム開発環境としてメインで使っているノートパソコン(HP Pavilion dv5/CT、15.4インチ、2008年製、CPU換装済み)をそろそろ買い替えたくなり、またサブのノートパソコン(Lenovo ThinkPad X61、12.1インチ)との一本化も図ろうと思い、今回はマウスコンピューターLuvBook LB-H600Bを購入しました。
フルHD解像度ながらも持ち運び可能なサイズで、かつグラフィックスも高性能なものを探していたところ、候補は色々あったのですが、あえて比較的キワモノなIris Pro Graphics 5200を搭載したLuvBook Hシリーズを選んでみました。
この機種はCLEVO W740SUをベースとしており、基本的にドライバや分解マニュアルの提供が不十分な日本のパソコンと異なり、CLEVOのサイトや同じベースの他の海外のパソコンのメーカーのサイト等からドライバ類をダウンロードできます。

また、BIOSには他のメーカー製パソコンにあるような特定のデバイスのみ認識するような制限がかかっていない上、Web上の情報もある程度豊富なため、分解や改造は比較的容易だと思います。
ちなみに分解マニュアルとBIOSはCLEVOのサイトでは一般公開がされていません(実際にはCLEVOのFTPサーバー上にアクセス可能な状態で保存されているが、ファイルのあるパスが非公開である)が、非公式ながらミラーサイトもあるため、そちらからダウンロードすることも可能です。
そこで今回は内部のmSATAスロットから配線を引き出し、キーボード上部のカバーの下にある穴を通し、eSATAポートを増設する改造を施してみました。
改造自体はmSATAスロットを備えている機種であれば多くの場合で可能ですが、前述の制限があるため他の機種では動作しないかもしれません。
今回もお約束ですが、メーカーの保証を受けられなくなる可能性があり、また故障や感電の危険性もあるため、改造を行う際は全て自己責任でお願いします。

まず分解マニュアルに従い、基板を取り外しました。
基板の表面の左側にmSATAスロットがあることが確認できました。

ここでmSATAからeSATAへ変換する専用のケーブル類を制作しました。
今回使用した材料を以下に示します。

名前説明
MSATA2SATAmSATAスロットをSATAコネクタに変換する基板。
SATR-3107BKSATAケーブル。
MU8F-018ピンUSBコネクタ。aitendo.ccで購入。
MU3S-8PM8ピンUSBプラグ。aitendo.ccで購入。
SS-ESSC-EX10eSATAケーブル。

上記の全てが他の同等品でも代用可能です。
使用する材料にもよりますが、費用は1000円から4000円程度です。
mSATAスロットをSATAコネクタに変換する基板については、価格帯の異なる様々な代替品がありますが、最終的にmSATAスロットとeSATAプラグのピンが正しく配線されていればよいため、安く済ませたい場合はmSATA規格ではない(ピン配置が入れ替わっている)aitendo.ccで499円で販売されているMPCI-E2USB-SATAも使用可能です。
SATAケーブルは取り回しのしやすさから一般的な平型ではなく曲げる向きに制限が無い丸型ケーブルがおすすめですが、数Gbps程度のシリアル通信に使われる2組以上のツイストペアがある適当なケーブル(HDMIケーブル、USB 3.0ケーブル等)も使えるかもしれません。
また、コネクタとプラグは5ピン以上またはシールドと4ピン以上ありかつキーボード上部のカバーの下の穴を通る大きさであれば、USB Micro-BコネクタやHDMI Type Dコネクタ等、大抵のものが使用できると思います。

次にこれらの材料を加工しました。
半田ごてを使い、MSATA2SATAのSATAコネクタ部分を取り外しました。
SATR-3107BKの被覆線の部分をmSATAスロットから穴まで届く長さ(約30cm)より少し長めに切断し、さらにSS-ESSC-EX10を片方のプラグを残して適当な長さ(使わない方のプラグの根元付近)で切断しました。
切断したSATR-3107BKの両端とSS-ESSC-EX10の一端の被覆を剥き、それぞれ4本の導線とシールド線が見えるようにし、SATR-3107BKの両端をMSATA2SATAとMU8F-01、SS-ESSC-EX10の一端をMU3S-8PMに半田付けしました。
MU8F-01はピンのピッチが狭い上、空中配線になるため、ホットメルト接着剤で固めて補強しました。

専用ケーブル

配線はmSATAスロットと対応するeSATAプラグのピンが一致していれば基本的にどのようにしても構いませんが、ケーブル中のツイストペアがA+とA-、B+とB-の組になるようにし、各接点部分では極力それらの組同士が接近しないように配置してください。
各接点部分では各組の2本のピンを隣り合わせにし、組と組の間にGNDのピンを設けるとより望ましいです。
一例として、今回行った配線を以下に示します。

配線番号ノートパソコン側外付けHDD側
mSATAスロット(参考)MSATA2SATASATR-3107BKMU8F-01MU3S-8PMSS-ESSC-EX10eSATAプラグ(参考)
番号説明番号説明番号説明番号説明番号説明番号説明番号説明
123TX+6B+B+88B+6B+
225TX-5B-B-66B-5B-
331RX-3A-A-44A-3A-
433RX+2A+A+22A+2A+
5多数GND1,4,7GNDシールドGND5,シールド5,シールドシールドGND1,4,7GND

ここから先ほど取り外した基板の作業に戻ります。
mSATAスロットは基板の表面の左側にあり、ここに先ほど制作した専用ケーブルのMSATA2SATA部を取り付けました。
穴はキーボード上部のカバーを開けたところにあり、この穴にMU8F-01部を筐体の内側から設置しました。
ケーブルの取り回しによる断線を防ぐため、あえて数か所を曲げて配線しました。

専用ケーブルの配置

その後、分解マニュアルに従い、筐体を元に戻しました。

以上で改造は完了です。
eSATAを使う時は、キーボード上部のカバーを外し、MU3S-8PM部をMU8F-01部に接続し、eSATAプラグを外付けHDD等に接続します。
とりあえず動作し、1.5Gb/sや3Gb/sでの通信時もエラーは発生しませんでしたが、環境によってはBIOSの設定変更や書き換えまたはドライバの更新が必要かもしれません。

2014/08/12追記
今回増設したeSATAポートでは6Gb/sでの通信を行おうとするとBIOS画面等でフリーズすることがあります。
6Gb/s対応のHDD等を接続する場合、ジャンパ等で速度を設定できるのであれば、あらかじめ6Gb/sで通信しないようにしておくとよいでしょう。
またコネクタがeSATAではあるものの、内部的には内蔵SATAポートと見なされるため、ホットプラグができない可能性があります。


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