ボタン電池LR44の放電特性の比較
2012/07/06作成
以前秋葉原に立ち寄った際に、LR44というボタン電池が必要になったので、いつも通り秋月電子通商でGolden Power製の10個で100円のものを購入しました。
その直後、すぐ近くの千石電商でSUNCOM製の同等品が同じく10個100円で売られているのことに気付き、ふと性能を比較してみようと思い、結局こちらも買ってしまいました。
左がGolden Power製LR44です。
秋月電子通商で100円で、電子工作好きにはおなじみ(?)のブランドです。
右がSUNCOM製LR44です。
千石電商で100円でしたが、あまり見慣れないブランドであり、何故か公称電圧が酸化銀電池と同じ1.55Vとなっています。
また千石電商には他にも50個入りの無名ブランドのLR44等があり、こちらを購入する人はあまりいないと思います。
今回は放電特性を比較してみます。
これには製造からの経過時間が重要ですが、両方とも製造日や使用期限が不明なため、同時期に購入した新品を使用しました。
両方とも詳細は不明ですが、回転が速い商品であることを考慮すると、製造からの経過日数は1か月以上6か月以下程度でしょう。
今回の実験方法は、それぞれのLR44に1kΩの金属皮膜抵抗(誤差1%)を接続し、その両端の電位差をSTM32 Primer2というマイコンボードのADCを使用して1秒ごとにサンプルして記録するというものです。
STM32 Primer2には市販の拡張ボード用のピンヘッダがあり、それを使用するとADCが2チャンネル使用できますが、普通の2.54mmピッチのピンヘッダなので簡単に自作できます。
バッテリースナップが繋がっており、これを介してLR44を接続しましたが、後で006Pで同様の実験をしようと考えていたためです。
STM32 Primer2のADCで得られる値はその電源電圧により1%程度変動するため、電源はUSBポートから5Vを連続供給し、STM32 Primer2内蔵の充電池の充電が完了してからADCによる記録を開始しました。
またSTM32 Primer2はADCの基準電圧を設定することができないため、記録開始直後のADCから得られた値とその時の実際の電位差を書き留めておき、その関係を基に電圧値を計算しました。
抵抗の選別などを行い極力誤差を減らすようにしてありますが、そのような都合から今回の実験結果の誤差は±2%程度と考えてください。
実験結果を示します。
右下がりの曲線が端子電圧、右上がりの曲線が放電容量を示しています。
両方の電圧値が0.9Vを下回ったことを確認してから記録を打ち切りました。
実験中の気温はデータとして記録していませんが、部屋の温度計は24℃から28℃の間を示していました。
1回目の実験結果です。
STM32 Primer2のADC1端子にGolden Power製、ADC2端子にSUNCOM製を接続しました。
接続前の開放電圧はGolden Power製が1.595V、SUNCOM製が1.587Vでした。
2回目の実験結果です。
1回目の記録終了直後に続けて2回目の記録を開始しました。
今回はADC1端子にSUNCOM製、ADC2端子にGolden Power製を接続しました。
接続前の開放電圧はGolden Power製が1.595V、SUNCOM製が1.585Vでした。
電圧はGolden Power製の方が若干高いようですが、1.15Vを下回った後に突然電圧が下がってしまうため、定電圧でも動く機器(万歩計や時計等)には不向きでしょう。
一方SUNCOM製は0.9Vまではゆるやかに電圧が下がっていくようで、容量はこちらの方が大きいです。
また、Golden Power製のものはデータシートが公開されていて、こちらでダウンロードできます。
Golden Power製のものは仕様上、0.9Vまでで150mAh、1.2Vまでで約104mAhの容量がありますが、今回の実験結果では0.9Vまでで約118mAh、1.2Vまでで約109mAhとなり、仕様を満たしていないと考えられます。
私がよく使っているデジタルテスターのMETEX P-10は1.2V程度までしか使えない(電圧が不足すると誤差が大きくなる)ため、今回の実験ではどちらの電池を使用してもほとんど違いが無いようです。
ただ、好みの問題ですが、SUNCOM製のものは使用期限が記載されている(製造日は記載無し、恐らく製造日から5年間)ため、精神衛生上SUNCOM製の方が良い気がします。
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