USBサウンドユニットaim AS372の改造
2013/02/20作成
2014/08/12更新

以前から192kHz 24bits入力対応の外付けオーディオインターフェイスが欲しかったのですが、今まで安価なデバイスが発売されていませんでした。
しかし最近登場したC-Media製のCM6620というチップを搭載したAS372は192kHz 24bits 2ch入力と192kHz 24bits 7.1ch出力に対応しているにもかかわらず、ドスパラで4000円程度で売られていたため、つい買ってみました。
このままでも特に不満はありませんが、折角なので、お約束で、今回も分解して改造してみました。

AS372分解後

早速分解しました。
筐体の天面のボリュームつまみを引き抜き、筐体の底面のシールをはがし、その裏のネジを外し、筐体の隙間にマイナスドライバー等を差し込んでこじ開けました。

改造前の基板の表面

基板の表面です。
DACにはC-Media製のCM9882が使用されていました。
改造した後に気が付いたのですが、スペック上のボトルネックは安物コンデンサやヘッドホンドライバではなく実はこのDACだったようです。
カップリングコンデンサにはSTONE製(詳細不明で中国製?)の470uF 10Vの電解コンデンサが使用されていました。
恐らく一般電源用の中ランクの低ESR低誘電正接タイプのものでしょう。
ヘッドホンドライバにはAnpec製のAPA2308が使用されていました。
3Vから6Vの低電圧単電源でボルテージフォロワ動作するオペアンプのようですが、ヘッドホンドライバ用ということで大電流出力が前提のアンプらしく、データシートによるとTHD+Nなどの性能は一般的なオーディオ用オペアンプに比べてあまり優れていないようです。

改造前の基板の裏面

基板の裏面です。
チップコンデンサ(タンタル?)と電圧源(4.5V出力のLDOレギュレータ?)配置されています。

改造前の基板

基板の俯瞰です。

続いて改造に取り掛かりました。
改造した箇所は以下の通りです。
今回は予算も1000円程度で元の筐体に収まるように部品を選定したため、あまり性能を追求しませんでした。

改造前改造後
カップリングコンデンサSTONE 470uF 10Vニチコン FW 470uF 10V
ヘッドホンドライバAnpec APA2308新日本無線 NJM4580MD
電源ラインのデカップリング電解コンデンサ無し東信工業 47uF 6.3V 3個

改造後の基板の表面

改造後の基板の表面です。
筐体に収まるようにデカップリングコンデンサを取り付けるのにかなり手こずったため、NJM4580MDの周辺がヤニだらけになってしまいました。

改造後の基板

改造後の基板の俯瞰です。
改造しない部品を外さずに作業したため、半田ごてでプラスチック部分を少し融かしてしまいましたが、動作には影響ありません。

改造は完了したのですが、残念ながら改造前の性能の測定が不十分で比較できるものがほとんどありませんでした。
理由は、無償版のRightMark Audio Analyzerはカーネルミキサー経由しか使用できず、Windows XPではカーネルミキサー経由の場合は48kHzしか正常に動作しないためです。
さらに悪いことに、音量を乗算するDSPのバグなのか、DACの不具合なのか、AS372には音量を-6dB以上にすると突然出力波形が歪むという問題があり、音量の制御方法が異なるWindows Vista以降ではさらに波形が歪みます。
とりあえずRightMark Audio Analyzerの測定結果を以下に示します。
測定条件は、OSはWindows XP SP3、Xear Audio Centerのサンプルレートの設定はRightMark Audio Analyzerの設定と同じ、Speakersの音量コントロールのマスターは50(-6.0dB)、スピーカー設定はステレオ、Line-inの音量コントロールのライン入力は25(0dB)、その他は全て無効化または消音です。

改造前改造後
Sampling mode24-bit, 48 kHz24-bit, 192 kHz24-bit, 48 kHz24-bit, 192 kHz
Frequency response (from 40 Hz to 15 kHz), dB+0.03, -0.08+0.03, -0.09+0.03, -0.08+0.03, -0.09
Noise level, dB (A)-100.7-89.6-100.9-89.8
Dynamic range, dB (A)88.287.588.387.7
THD, %0.00380.00390.00540.0046
THD + Noise, dB (A)-81.8-82.2-80.5-81.5
IMD + Noise, %0.0100.0100.0110.011
Stereo crosstalk, dB-99.8-86.6-100.6-89.3
IMD at 10 kHz, %0.0120.0110.0120.011

10kΩ程度の入力抵抗のループバック録音のような小電流出力ではほとんど変化がありませんでした。
改造前に32Ω等の大電流出力でも測定するべきでしたが、データシート上はNJM4580MDの方が低ひずみで、さらにパスコンも増強したため、改造前の音は覚えていませんが、ヘッドホン出力の音質が多少(-1dBから-3dB程度)は改善されたのだろうと思います。
また標準でASIOやS/PDIF入出力に対応し、普通に使う分には改造なしでも最近のオンボードサウンドに勝るとも劣らない音質なので、少しでも作曲や音質に興味がある方なら持っていても損はしないと思います。

2014/08/12追記
ほぼ無負荷状態での測定のため、あまり参考にならないと思います。
次の記事ではより実際の音質(ある条件での改造前後の音質の差)に近い結果を得る方法に変更していますので、そちらも合わせてご覧ください。


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