ヘッドホンSHURE SRH440のクロストークの低減
2012/11/04作成

最近まで作曲用等に改造したVictor HP-RX700を使っていたのですが、音の解像度(明瞭さ、分離度とも呼ばれる)が今一つ(ただし価格を考えれば良い部類)なのと、高音域があまり出ないことに不満があり、今回予算1万円以下で大型家電量販店で試聴して選んで購入したのがSHURE SRH440でした。
このヘッドホンはケーブルを交換できるのですが、両端が3極プラグであり、必然的にクロストークが発生するため改造してみることにしました。
今回は元のケーブルがヘッドホン側に直径2.5mmの3極プラグがある着脱可能な方式なので、改造後もこの利点を生かしつつ4線化する方式にするため、機器側を直径3.5mmの3極プラグ、ヘッドホン側を直径3.5mmの4極プラグとしました。

初めに専用ケーブルを作成しました。

COMON W435-30

まず交換するケーブルにはCOMON W435-30を使用しました。
線が4本入っているものなら何でも構いませんが、一方を3極でもう一方を4極にするため、このケーブルを適当な長さで切断し、切断した側に3極プラグを装着しました。
W435-30の場合、切断すると黒、緑、白、赤の被覆線が見え、それぞれプラグのスリーブ側から順に接続されています。
何故か白がRで赤がLになっていますが、作業を行う際はテスター等で配線を確認してください。

直径3.5mmの3極プラグと直径3.5mmの4極ジャック

さらに直径3.5mmの3極プラグと直径3.5mmの4極ジャックを用意しました。
3極プラグは先ほど切断したケーブルの一方に装着し、4極ジャックはSRH440に取り付けます。
4極ジャックは後でSRH440の左側のハウジングのジャックの部分に取り付けるには少し大きすぎるため、絶縁用のプラスチックの部分をカッターで少し削りました。
3極プラグのスリーブ端子(GND端子)にはケーブルのスリーブ側の2本の線(W435-30の場合は黒と緑)、リング端子(R端子)にはケーブルのチップ側に近いリングの線(W435-30の場合は白)、チップ端子(L端子)にはケーブルのチップの線(W435-30の場合は赤)を接続しました。

専用ケーブル

完成したケーブルです。
使用する時は4極プラグをSRH440、3極プラグを機器へ接続します。

次にSRH440本体の改造を行いました。

イヤーパッド取り外し

イヤーパッドを取り外しました。
パッドが耳に当たる部分の内側に指を入れて外側へ引っ張るようにすると簡単に取り外せます。

ジャック付き基板

イヤーパッドを取り外すと3個のネジが見えるので、それを外してハウジングを開けました。
左側のハウジング内には直径2.5mmの3極ジャックが取り付けられた基板が見えます。

基板取り外し

基板に繋がっている4本の導線を半田ごてで取り外し、基板にある2個のネジを取り外しました。
ここに見える穴に用意した直径3.5mmの4極ジャックを挿入するため、穴の周りをペンチとカッターで少し削りました。

4極ジャック取り付け

直径3.5mmの4極ジャックを取り付け、取り外した導線を半田付けしました。
スリーブ端子(今回使用したジャックでは銀色の一番大きい端子)に左側の振動板へ接続された銅色の線、スリーブ側のリング端子(銀色の少し大きい端子)に右側の振動板へ接続された銅色の線、チップ側のリング端子(金色の小さい端子)に右側の振動板へ接続された赤色の線、チップ端子(銀色の小さい端子)に左側の振動板へ接続された赤色の線を接続しました。

改造済みSRH440

ネジとイヤーパッドを取り付け元通りに組み立てました。
4極ジャックと穴を瞬間接着剤で固定し、その隙間を木工用ボンドで埋めました。
使用する時は先ほど作成した専用ケーブルの4極プラグを接続します。

今回は片側が4極になっている専用ケーブルを作成しましたが、この改造の利点はクロストークを改善できるだけでなく、クロストークを気にしなければ両側が直径3.5mmの3極プラグとなっている汎用のオーディオケーブルが使用できることにもあります。

今回もHP-RX700を改造した時と同様の方法でクロストークと左右の音量差を測定しました。
改造前のクロストークは-28dBでしたが、改造後は-67dB以下となり、39dB以上改善されました。
この測定方法では反対側の振動板からの音がどうしても少し漏れるため、これ以下の値の測定は困難で、クロストークは測定限界以下でした。

改造前改造後
クロストーク-28dB-67dB以下
左右の音量差-0.21dB-0.22dB

少し話は変わりますが、オヤイデ電気からSRH440用のケーブルが発売されるようです。
こちらは材質等は良く出来ていますが、ヘッドホン側が純正ケーブルと同様に3極であるため、クロストークの改善にはなりませんので、購入を考えている方はご注意ください。


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